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現在の札幌市動物管理センターは、西区八軒と北区福移に業務が分散されていますが、犬や猫の収容場所である福移支所は郊外に設置されていることから、交通の便が悪く市民が利用しづらい状況です。
また、八軒本所、福移支所とも、動物の愛護と福祉に配慮した、市民が気軽に立ち寄ることの出来る施設ではないため、殺処分される施設との暗いイメージは払しょくされていません。
札幌市は平成28年度、「(仮)札幌市動物の愛護と管理の条例」の施行が予定されています。条例を適切に運用していくために、ハード面でも、「人と動物が共生できる社会」の見本となる施設が必要です。
また、札幌市に動物愛護センターの建設が実現すれば、動物の愛護や福祉が推進されるだけでなく、地域の活性や住民の交流のあり方について、北海道を始め他の自治体の良き手本となるに違いありません。
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会は、市民が利用しやすく親しみやすい、動物の愛護や福祉の普及啓発の拠点となる、横浜市動物愛護センターや旭川市動物愛護センター「あにまある」のような、以下の要件を満たす施設を要望します。
1.動物の愛護と福祉に配慮した施設
平成25年度、人と動物が共生するよりよい社会をめざして『動物愛護管理法』が改正され、自治体は殺処分がなくなることを目指して、引き取りした犬猫を出来る限り返還したり、譲渡するよう努めることが明文化されました。そうしたことからも、収容動物の福祉の向上を目指し、長期間収容によるストレスの軽減等に配慮した設備を整えるとともに、動物たちの健康を維持しながら、心身ともに健康な動物を一頭でも多く譲渡できるようシェルターメディスンの考えを導入すべきと考えます。
一方で、ペットに対する理解不足や意識の低い飼い主による迷惑行為、ネグレクト型虐待、公衆衛生、動物取扱業等に関する問題等も多く、動物の愛護と管理に関する行政の社会的な要請は益々高まっています。動物の適正飼育の推進や愛護・福祉の啓発、動物取扱業者の管理の他、市民が安心して快適に過ごすには、飼い主はもとより、動物取扱業者や一般市民等、多様な立場に対する様々な施策が必要になります。そうしたことからも、適正飼養の普及啓発の拠点として、動物の愛護と福祉に配慮した機能を備えた施設であるべきと考えます。
2.大規模災害時、市民とペットの同行避難場所となる施設
東日本大震災では、被災地域の住民のみならずペット等の動物も大きな被害を受け、 震災後も放置されたペットや家畜が繁殖したり、餓死するなど福祉や公衆衛生上の問題も多発しています。こうした状況を受け、都道府県が定める「動物愛護管理推進計画」に、災害時の動物の適正な飼養及び保管に関する施策を盛り込むこととされました。
札幌市の場合も、人口は政令指定都市の中でも全国4番目に多い約194万人と都道府県同様の施策が求められると考えます。大災害時における市民とペットの同行避難場所としても、広さのある施設や敷地は必要不可欠です。災害時のペットの救護、周囲への迷惑防止等に配慮するためにも、仮設住宅等が必要になることを想定すると、十分に広さのある敷地は必要で、立地条件等を含む場所の選定及び設備を併せ持った施設が必須と考えます。
3.飼い主のいない猫対策に対応できる施設
札幌市動物管理センターに寄せられる市民の苦情の多くは外猫や飼い主のいない猫に関するものですが、人と動物がより良く共生するためには、旭川市や本州の他市ではすでに取り入れられている地域猫活動が対策の要と考えます。
行き場のない不幸な動物を増やさないためには、不妊手術が有効です。地域猫活動を推進するために、また、先述の愛護と福祉の観点からも収容動物に適切な治療が可能になるよう一般の動物病院同様の診療設備が必要と考えます。
平成25年度以降、内閣府で「共助社会づくり懇談会」が開催され、地域コミュニティーを中心とした「共助」の活動が推奨されており、行政・市民団体・自治会等が協働しながら地域を支える施策が求められています。飼い主のいない猫対策のための地域猫活動は、今後札幌市でも官民挙げて取り組んでいくべきと考えますが、地域住民の協力と理解が必要不可欠であり、まさに共助社会のなせる活動です。施策を効果的に推し進めるためにも市民が足を運びやすい施設が必要です。
4.子どもたちに『命の教育』が出来る施設
核家族、少子化の現代では、子どもたちが命の尊さや大切さを学ぶ機会も少なくなり、命に対する認識が薄い青少年の犯罪も多発しています。収容動物たちの現状を知ることは、子どもたちの道徳観や人格的な成長を促し、身近な動物である犬や猫を通して、「命を大切する心」、「弱者に対する思いやり」、「命に対する倫理感」、「最後まで面倒を看る責任感や根気強さ」、「公共の利害にも深く関わる行動規範」等、教育の現場だけでは伝えきれない、人としてあるべき姿を体感できる道徳教育の機会と考えます。遠足や課外学習などでも利用できる、学習室も併せ持った施設であることが望まれます。
5.ペットを通じて市民が交流できる施設
近年、私たちの生活環境は大きく様変わりし、人々の価値観もモノから心の豊かさへと変化してきました。少子高齢化、人口減少が問題となり、札幌市の一世帯当たりの家族数は2名余りと核族化が進んでいます。そうした現代社会には、様々な年代の人々が交流できる場が必要です。日本では今や犬や猫などのペットの数は、15歳未満の子どもの数を大きく上回っていますが、犬猫などのペットが心に安らぎや潤いを与えることからも、愛玩動物に対するニーズや位置づけは益々高まってきています。しかし、今後はさらに老齢人口が増えることからも動物の適正飼養が出来ない人が増加すると考えます。動物を飼いたくても飼えない高齢者が動物と触れ合うことは、生きる活力に繋がり、引きこもりや孤立の防止に役立ちますし、ペットを介在した高齢者における健康増進は科学的にも証明されています。
また、知識習得者による動物介在療法や動物介在教育など、適性のあるモデル犬猫を介した心のリハビリやコミュニケーションを図る場としての役割も必要と考えます。
様々な人々が気軽に立ち寄り交流できる、市民に開かれた利用しやすい、参加型の施設であるべきと考えます。
6.ボランティアの人材育成や獣医師等との連携・協働できる施設
モノの豊かさから心豊かな社会へ転換するには、『命の大切さ』を伝えるボランティアの育成も重要です。ボランティア研修のシステムも持ち合わせる多目的施設となれば、社会貢献できる人材の育成にも繋がると考えます。また、様々な施策を具現化するために、行政、獣医師会、動物病院、動物愛護団体及び、愛護推進員等の市民ボランティアなどと連携・協働しながら、具体的な取り組みを実践していく必要がありますし、動物に係る情報の交換や発信の場としても利便性の良い場所で機能が集約した施設は必須と考えます。
以上
■提出方法:原本を札幌市長宛てに提出いたします。
■署名提出は平成27年6月~7月頃を予定しています。
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